アスリートのトレーニング
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トレーニングの目的、適切かつ効果的なトレーニングとは?
トレーニングの目的とは?
細かな目的は様々ですが、大きくは以下の2点が挙げられます。「フィジカルパフォーマンスの向上・障害予防と軽減」
適切なトレーニングとは?
トレーニングとは日常ではない環境、厳しい環境で鍛錬するスポーツ選手の競技力向上をイメージしますが、一般人の健康づくりや趣味のスポーツにおいても同様で、効果的に効率よく安全に成果をもたらすための運動の基礎として「トレーニングの4つの原理と5つの原則」があります。 トレーニングを行う上で、トレーニングの原理・原則を理解されていますでしょうか?原理とは、事物・事象において守らなければならない決まり。
原則とは、多くの場合に共通に適用される基本的な決まり。
つまり、トレーニングを指導するにあたって理解し、守らなければならない、守るべき事です。
トレーニング4原理
トレーニング5原則
漫然とトレーニングするよりこの法則を知ることで、体の適応性を引き出し、効果的に効率よく安全に自分の体を整えていくことができます。効果的なトレーニングを行うためには
トレーニングを効果的に推進するためには“運動ありき”で、目指すスポーツパフォーマンスの構造モデルからトレーニングを開始することを推奨しています。トレーニングは、筋の協調、生理的な需要という点において、実際の競技にできる限り近い方がいいとされています。これは、実際の競技動作に対して特異であるということではなく、用いられるエネルギー供給システム、動作スピード、筋の動員パターン、関節角度、パフォーマンス頻度、そしてレストの長さに対して特異であるという意味です。
ウォーミングアップとクールダウン
ウォーミングアップについて
目的
- 体温、筋温の上昇
- 血流促進
- 筋―神経の協調性を高め、スムーズな動きを誘引する
- サイキアップ(心の準備)
具体例
-
- 3〜5分の軽いジョグから
- ストレッチ
10〜20秒/1種目
静的(スタティック)ストレッチだけでなく、動的(ダイナミック)ストレッチも加える
受動的(パッシブ)=自分の力で、と能動的(アクティブ)=外からの力で
- 軽いショートダッシュ、ジャンプ、ターンなど種目特性に応じた全身運動
- (軽い種目の技術、戦術練習) ※トレーニング本編に組み込んでくる
注意点
-
- 長時間にならないようにする
- トレーニング本編でいかに良いパフォーマンスができるかが重要
10〜20秒/1種目
エネルギーを使いすぎない
10〜15分程度
- 軽いショートダッシュ、ジャンプ、ターンなど種目特性に応じた全身運動
- 軽い種目の技術、戦術練習 ※トレーニング本編に組み込んでくる
クールダウンについて
目的
- 筋、その他器官の沈静化
- 運動疲労の回復
- 運動中止後の下肢血流停滞による貧血の防止
- 身体に蓄積される無機リン酸、水素、アンモニア、乳酸、代謝物の早期除去
具体例
- 積極的休息(アクティブリカバリー)によるジョギングやエルゴメーター、水中歩行、水泳など
- ストレッチ、マッサージなども有効
注意点
- 楽だと感じる程度の強度で行う
- 10〜15分程度
トレーニング計画(プログラムデザイン)
トレーニング効果を適切な時期に得るために、実施すべきエクササイズが指定されているだけではなく、トレーニング変数(種目、セット数、回数、頻度など)を目標や他のエクササイズとの論理関係、負荷や方法の詳細の処方、時間的配列など、一連の事象を論理的に考えなければなりません。STEP.01 ニーズ分析
-
- 競技・活動分析(観察・インタビュー・科学的分析)
生理学的
バイオメカニクス的
スポーツ医学的
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- 個人特性分析(インタビュアー・測定・評価)
トレーニング・競技歴
障害歴
コンディショニング・レベル
STEP.02 目標設定
- 具体的
- 測定可能
- 達成可能
- 現実性
- 時期規制的
STEP.03 プログラム変数の操作
- トレーニング環境条件
- 種目選択
- 実施秩序
- 強度・回数・セット
- 休息時間・頻度
STEP.04 トレーニング
STEP.05 プログラムのチェック・再編
- セッション
- 測定
- インタビュー
- 評価
注意点
-
- ニーズ分析を十分に行い、適切な取捨選択を行う
- 目標明確な計画性のあるプログラムを作成する
- 基礎的要素から段階的漸進を含んだトレーニングアプローチを行う→パフォーマンスの引き上げ、障害予防・軽減
- スピード、アジリティトレーニングはコンディショニングトレーニングではない
(参考) トレーニングにおけるドリル設定距離の目安…10〜20m以内で考えると良い
トレーニングの種類
体力を向上させるトレーニングは運動の形態別に分類できます。筋肉を動かす3つのエネルギー供給系
筋肉は力を発揮する際にATP(アデノシン三リン酸)という物質を消費します。運動を持続したり、再び運動を行うためには体内でATPを再合成する必要があるが、この合成過程が運動強度によって大きく3種類に分かれています。持続トレーニング
-
- 休息を取らず、低強度の運動を長く続ける形態
- エネルギー供給の大半は有酸素系によるので、呼吸・循環系に負荷を与える
- 全身持久力を改善するためには、運動中に大量の酸素を摂取して有酸素的なエネルギーを産出するような運動を選択する
- 運動時間:3分以上
- 有酸素系機構
- 主な運動法
ランニング、スイミング、エアロビクス、ウォーキング等
インターバルトレーニング
ローパワートレーニングの目的
有酸素的エネルギー代謝における
作用向上のためのVO2max増大を図る → 有酸素能力の向上
作用開始の時間短縮を図る → 効率性の向上
作用時間の拡大を図る → 効果の増大
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- 低強度の運動(≒120拍/分)と高強度の運動(>180拍/分)を交互に繰返す形態
- エネルギー供給の大半は有酸素系によるので、呼吸・循環系に負荷を与える
- 全身持久力を改善するためには、運動中に大量の酸素を摂取して有酸素的なエネルギーを産出するような運動を選択する
- 運動時間:1分30秒~3分 / 30秒~1分30秒
- 乳酸性機構+有酸素系機構 / 非乳酸系機構+乳酸系機構
- 主な運動法
スプリント、サイクリング、サーキットTR等
ミドルパワートレーニングの目的
有酸素性持久力(全身持久力)の向上
心拍数最大or最大に近いレベルでのトレーニング
循環器系組織(肺や毛細血管)の発達には、長時間持久走などが有効
無酸素性持久力(筋持久力)の向上 = ミドルパワーの向上
ATP-PCr系、乳酸系エネルギー供給機構を最大限に動員する乳酸が多量に作られるような高強度運動の実施
2、3分で疲労(+)となるレペティショントレーニング
高強度運動と短時間休息を繰り返すインターバルトレーニング
サーキットトレーニングの目的
高強度運動を一定時間持続できる能力(≒ミドルパワー)の向上
||
疲労蓄積をさせにくく、高強度の運動を一定時間持続できる能力の向上
特徴…種目間に、ごく短時間休息を挟むor休息を挟まない
効果…脂肪の減少、筋力増大、筋持久力の増加、無酸素性持久力の向上
ミドルパワートレーニングにおける疲労困憊の主な原因 = 乳酸生成に伴う筋pH値の低下
レペティショントレーニング
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- 高強度運動の間に完全休息を取るトレーニング形態
- ウエイトトレーニングもこの形態に位置付けられる
- 目的に応じて、セット間の休息を慎重に設定する
- 運動時間:30秒以下
- 非乳酸系機構(ATP-CP系)
- 主な運動法
筋力(レジスタンス)TR、スピードTR、プライオメトリックTR、アジリティTR等
筋力(レジスタンス)トレーニング
筋肉の収縮様式
:運動療法を実施する際や筋機能を評価する上で重要な筋収縮の分類について
筋肥大
効果:筋線維肥大という筋の構造的な変化が起こりそれまで動員されていなかった神経筋単位も総動員される
長期実施により、神経制御機構がゆっくりとした運動に適するように変化する可能性がある
最大筋力向上
効果:神経系の要因を改善することによって、最大筋力とスタート筋力を高めることが主な狙い
筋パワー向上
効果:神経系の要因改善。主動筋と拮抗筋による収縮と弛緩の協調性、中枢から抹消への運動連鎖の向上
スピードが出せる動作習得を通じて、スピード筋力を高める(全力発揮による最大速度での運動)
スピードトレーニング
-
- 反応スピード
- 反復スピード:ステッピング、腿上げ、反復横跳び、ラダーなど
運動強度が最大またはそれに近いレベルを最後まで低下せず実施できる範囲を随時選択変更する
-
- 加速スピード:アシステッド法トレーニング※(トーイングマシーン、坂道ダッシュなど)
※アシステッド法
負荷を軽減し(-10%以内推奨)限界以上のスピードを追求する。本来の技術が大きく乱れることのない範囲のスピードを選択
『速さ』の分類
- スピード:方向変化のない直線的な距離を最高速度で移動する動作
- (リアクティブ)アジリティ:特定の刺激(相手やボールなど)に対する反応の中で起こる加速や減速、方向転換を伴う素早い全身動作
オープンスキル(リアクティブ)
プロセス:無意識下での瞬時の認知、判断、実行能力が必要
01.特定刺激による外的情報を瞬時に認知
02.適切な動作のための判断
03.内的情報を認知→重心コントロール
04.動作の確定
クローズドスキル
トレーニング法
01.反応速度
限界がある(0.2秒程度)→予測力の向上=小脳の学習能力(経験値)
02.動き出し・切り返し…プライオメトリックトレーニング
下肢のバネ(筋腱複合体の弾性)
接地時の足関節固定性向上→接地時間の短縮
球技の場合
減速、停止、切り返し、ターンにおける最適な姿勢制御能力向上→姿勢、ポジション、動作等のテクニック習得
03.加速度(加速能力)・最高速度…30〜40m or 5秒の素早さ向上(身体の移動速度=ピッチ×ストライド)
→自転車ペダリングの回転数、ステップワークの俊敏性、接地時の衝撃吸収・反発力(プライオメトリック能力)
プライオメトリックトレーニング
プライオメトリクスとは…
筋腱複合体のSSC(= Stretch-Shortening Cycle:伸張・収縮サイクル)のスムーズで効率的な移行能力を改善するトレーニング
↓
動作初期の爆発的加速能力や動作終盤まで加速しながら身体や物体を投射する能力を向上
SSCとは…筋が素早く新調した直後に収縮すること
重要課題
筋の反動局面における主動筋の程度かつベストタイミングでの活性化
腱に貯蔵された弾性エネルギーを後の収縮局面への素早い意向により効率的に再利用すること
プライオメトリックエクササイズ
上半身:メディスンボールやその他器具を利用したエクササイズ
下半身:ジャンプ、バウンド、スキップ、ホップ系のエクササイズ
クイックリフトだけでは難しい回旋系や多方向へのパワー向上が可能
実施上のポイント
SSCにおける伸張性筋活動開始〜短縮性筋活動開始まで(償却局面)での素早い切り返し動作を強調し、
ゴルジ腱反射を抑制することが基本条件
ゴルジ腱反射を抑制することが基本条件
01.予備緊張
02.償却時の関節の瞬間的固定
03.無駄のない力伝導可能な姿勢が重要
そのために正しいフォームやテクニック習得を優先
↓
爆発的パワー発揮に関与する要素
01.SSC
筋が伸張される速度が速いほど、反射的に短縮する力が大きくなる
02.予備緊張
プライオメトリクスでは、瞬時に大きな力発揮をさせるため、伸張伸張性筋活動時に筋をあらかじめ収縮させておくことが必要
03.ゴルジ腱反射の抑制
筋活動時の急激な筋伸張による腱損傷を防ぐための自己抑制機能(筋を弛緩させる) ゴルジ腱反射の抑制には、Exの漸進的な実行が不可欠
04.弾性エネルギーの蓄積と再利用
プライオメトリクス伸張性局面で、伸張腱にいかに多くの弾性エネルギーを蓄積できるかが、その後の パワー増大に関係する(短縮性局面で蓄積エネルギーの再利用しパワー発揮を行う)
※一定レベルの筋力が必要
※一定レベルの筋力が必要
05. 償却時の関節の瞬間的な固定
06. 力が伝達される正しい姿勢
短縮性筋収縮(コンセントリック)だけでなく、伸張性筋収縮(エキセントリック)、等尺性筋収縮(アイソメトリック)もしっかりと強調しながら段階的にしっかり負荷をかけ、基本的なストレングストレーニング や着地や切り返しを強調したジャンプトレーニングをする、ということです。
プログラム変数の操作
エクササイズの選択
償却時間 | ショートタイプ(0.25秒未満)…陸上短距離や跳躍接地 ロングタイプ(0.25秒以上)…バレーボールのスパイク踏切 |
償却様式 | スクワットジャンプ型(反動なし不要)…素早い切り返し局面、短縮性筋活動の強化(スタート局面・動作)
カウンタームーブメントジャンプ型(大きな反動要)…大きな切り返し局面、大きなパワー発揮(加速・垂直跳び局面) リバウンドジャンプ型(素早い反動要)…素早い償却局面(最大スピード・切り返し局面) |
償却形態 | 方側、両側、交互 |
運動形態 | 単発的パワー発揮、連続的パワー発揮 |
運動方向 | 身体または物体の投射方向(垂直、水平、側方、斜めなど) |
運動様式 | 上半身Ex、下半身Ex、体幹Ex、複合動作Ex |
種目数
動作特異性、強度、難易度、競技シーズン、経験レベルを考慮
初心者:5種目以下 / 上級者:10種目以下
強度
関節角度、償却様式、償却時間などから漸進的に設定
量(回数、セット数)
負荷なしEx:10回×3〜5セット / 負荷ありEx:1〜5回×3〜5セット
休息時間
Ex 実施時間の 4〜10 倍(目安)…神経系疲労を最小限に留める低強度:30〜60秒 / 中強度:1〜2分 / 高強度:2〜3分
頻度
48〜72時間の回復時間が必要=2日連続で同部位のExを行わない通常強度:2〜3回/週 / 高強度:2回/週 (1週間の中に低、中、高強度の種目を混ぜる)
プログラム作成時の注意点 → 心身がフレッシュな状態で行う
(例:W-UP→スピード系→プライオ→筋トレ→無酸素性持久力→有酸素性持久力→C-DOWN)
注意点
-
- 一定レベルの筋力を高めておく
- 正しいフォーム、テクニックで行う
※効果の引き出し、障害発生リスクの回避につながる
-
- 基礎〜応用への漸進的トレーニングの展開
- 心身疲労度の少ない状態で行う →SSC の阻害効果抑制
- 設定強度の調整を的確に行う(強度が高すぎる場合→償却時間が長くなる)
特に、体重 100kg 以上で、相対筋力(体重に見合う筋力)が低い場合には要注意
- 中学生以下での高強度種目は避ける
- 衝撃力の強い(Depth Jump など)種目は、第二次成長が過ぎてから(高校入学以降を目安)導入する
- 衝撃吸収性のない場所(コンクリート、アスファルトなど)や安定性に欠ける場所(体操マットやグラウンドなど) では行わない
- 幅狭・高ソール、側方動揺性の高いシューズは使用しない
メディカルジャパン介入例
弊社では、米国のノラクソン社による筋電図も導入しています。筋電図動作分析機を使用し評価、再評価を行います。 筋電図をとることで、どの筋が、いつ、どのような動きで、どのくらいらいの強さで活動するのかが分かり、客観的データを得ることが可能となります。正常な筋肉へは、より良いコントロールが出来るようトレーニングを入れたり、治療としても、より掘り下げた動作指導などが行えるため、根本的な症状改善やパフォーマンスの向上に直結します。野球投球動作
来院時
4D体操のみ
4D体操+4D整体
可動域が広がることで怪我のリスク軽減につながります